2011年 8月12日
Joe Lovano
US5 "Bird Songs"

Joe Lovano (sax) James Weidman (piano) Esperanza Spalding(bass)
Otis Brown,III (drums perc) Francisco Mala (drums perc)
1 passport
2 donna lee
3 barbados
4 moose the mooche
5 lover man
6 birdyard
7 ko ko
8 blues collage
9 dexterity
10 dewey square
11 yardbird suite
2010年秋録音のジョー・ロヴァーノのアルバム。
タイトル通りパーカーの作品集(6は自作曲)
ここ一年の間にも、Steve Kuhn Trio / with Joe Lovano "Mostly Coltrane" John Patitucci "Remembrance" などのアルバムにクレジットされていて、次々と録音に参加している様子のジョー・ロヴァーノ。
聞き始めたのはポール・モチアン(PaulMotian)ユニットの作品からだから、およそ20年前。独特のくすんだ音色でのアプローチが新鮮で、ジョン・スコフィールドのアルバムも快演だった。何となく参加している物を購入しているうちに、リーダーアルバムよりもサイドメンとしてのものが、より多く棚に並ぶ。ま、あまり熱心なリスナーではないのだろうが、エスペランサのベースがこういった楽曲でどんなアプローチをするのかも興味があって、久々に購入した彼のリーダーアルバム。
解説が必要な構成が多い演奏で、ロヴァーノ自身がライナーに詳しく書いている。
さすがに通り一遍のやり方では済まず、次々と仕掛けてくるものになっている。一曲目からして、本人はワルツを挟んだと仰っているが、毎コーラス、テンポチェンジの際に使われるヴァンプは、テーマ部分の戻ったA部分の7小節目を4/3と変化させることで、7拍子に聞こえる。
ソロ構成もテーマ部分と同じく、ワンコーラスはメディアム、次は倍のファストと目まぐるしくテンポチェンジを行っているわけだが、この7拍子のつなぎでほっと一息感を出すつもりだったように聞こえる。ま、大変だけど。
「ドナ・リー」はバラードで、コード進行を付加したものだと説明されているが、冒頭の数小節にメロディの片鱗が窺えるものの、本来の楽曲にはない転調が含まれ、これはドナ・リーをイメージした新たなチャレンジというのが正しいように思われる。

「バルバドス」は最後の2小節をイントロにして、テーマ部分はそこを省き、10小節で頭に戻る。ソロは本来のブルース。
オリジナルチューン「Birdyard」は、「Yardbird suite」のメロディを拝借して5つのキーで繰り返し、その上でオオロクローム(Aulochrome)のソロを展開するもの。ここでもさりげなく変拍子が加えられていて油断出来ない。


Aulochromeの正体はソプラノを2本くっつけたような形の楽器。一つのマウスピースから2本の管につながるもので、一人で和音吹奏可能らしい。ローランド・カークがご存命だったら狂喜したに違いない。
一人セクションのタイミングがあまりにも合い過ぎるので調べるとこういうことだった。このアルバムでは他にストレート・アルト、メゾソプラノ・サックスも吹いている。メゾソプラノ・サックスはF管。
スティーブ・コールマンが分析したチャーリー・パーカーの語法に関する論文があって、「KOKO」は冒頭部分のメロディの巧みさとマックス・ローチのドラミングの重要性に言及している。
ここでは2人のドラマーオーティス・ブラウン (Otis Brown) 、フランシスコ ・メラ (Francisco Mela) とテナーのトリオで演奏しているが、ロヴァーノはキーもテンポも自由に行き来しながらソロを展開していて、2人のドラマーが繰り出すリズムの作り方が緻密で面白い。
御本人は「私の努力、工夫を楽しんで頂ければと思います」と締めていらっしゃるわけだが、メンバーの自由な発想と併せてしばらくは楽しんだり悩んだりするアルバムで間違いなし。