3 Jeremy Pelt

2007年 12月2日 

 1976年カリフォルニア生れのジェレミー・ペルトは、今最も期待されているトランペット奏者のようだ。最近ニューヨーク・タイムスに紹介記事が出たし、数カ月前にはダウンビート誌の注目若手トランペッター特集でも大きく取り上げられていた。


 注目を集めているのは少々思い切った現在のスタイルだが、トランペットにワウを使うエレクトリックな展開を含んでいる。

 彼のサイトでは定期的にライブ音源がアップされていて、数年前のものから聞く事ができる。初期の、古典的な曲を大胆なリハモナイズで演奏しているものもかなり面白い。現在のニューヨークの若手が日夜トライしている音を実感できるはずだ。http://www.peltjazz.com/home.html

 小学生の頃、ジェレミーのウォークマンの中は、他の子供たちと比べるとちょっと変っていました。ドビュッシー( Debussy )、ラヴェル (Ravel) とショパン (Chopin) 、母親の持っていたビリー・ホリデイ (Billie Holiday) のレコードから選んだクラーク・テリー (Clark Terry) のパート。

 クラスの他の子達が「インディ・ジョーンズ」に憧れている時に、彼はそのインディ・ジョーンズのサウンドトラック、ジョン・ウィリアムスの「Temple Of Doom」に惹かれていました。

 バークリー音楽院を経て、ジミー・ヒース (Jimmy Heath) 、フランク・ウェス (Frank Wess) 、 フランク・フォスター (Frank Foster) 、ジョン・ヒックス (John Hicks) 、ラルフ・ピーターソン (Ralph Peterson)、ナンシー・ウィルソン (Nancy Wilson) 等々と共演を重ね、最も注目される新人として評価されている。

 ニューヨーク・タイムスで取り上げられていた新作は「Jeremy Pelt & Wired "Shock Value" Live at Smoke」
このアルバム以前、高い評価を受けたのが、「Close to my heart 」(2003)


 こちらはストリングス入りの曲も甘味なスタンダードアルバム。この4年前のアルバムリリース時にはかなり好意的に客に迎えられたそうだが、ロックのリズムを取り入れ始めた2年ほど前から反応は厳しくなったらしい。この2枚の違いを聞けば、その反応は容易に想像できる。スタンダードアルバムに感銘を受けたデイブ・ダグラス(Dave Douglas トランペット奏者)は共演を申し出たのだが、「今は、もっとロックベースの音楽をやりたい」と聞き、驚くと共に感心したらしい。

「1940、50,60年代の伝統的な音楽を演奏して、何かを付け加えようとする人は多いのですが、何か大胆なステップを図ると多くの人は否定的になりますし、音楽商業の現場でクリエイティブであることを求められているとは言えません。しかし、ジェレミーは先に進みたいようでした。」

 この変化について本人は「私自身の聴衆を獲得したいのです」と語る。本人も「イン・ア・サイレントウェイ」の静かな部分にインスパイアされた部分もあると言っているし、評論家の反応は、どうしても70年代前後のマイルスとオーバーラップするらしく、ラストアルバム「Doo-Bop」の次を期待するわけだ。

 彼の演奏を聞いたフレディ・ハバードから電話もいただいたようだし、ますます頑張らなきゃってところだ。個人的には、ライブ盤に関して言えば、ベースの口数が少し整理できて、ギターが奮起してくれればナと思う。

 サックス奏者ドナルド・ハリソンの甥、クリスティアン・スコット(Christian Scott)も注目されているジェレミーの次の世代。マルサリスはドナルド・ハリソンに「僕の甥をチェックしてくれ。まだ11か12だが吹くよ」と言われたらしい。それで、マルサリスを驚かせたスコットも24才。なんだかニューオーリンズから次々凄いのが出て来る。

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