5 Sonny Rollins 2007





2007年 9月26日 Sax Trio Sonny Rollins


 ソニー・ロリンズ氏は相変わらずライブ活動をこなされているようなのだが、9月18日にカーネギーホールでコンサートを開いた。このコンサートの呼び物がトリオで演奏すると言うものだったらしい。

 話は50年前に溯る。1957年11月29日、ドラマー、ウェンデル・マーシャル (Wendell Marshall)、ベーシスト、ケニー・デニス (Kenny Dennis)とカーネギーホールでトリオ・パフォーマンスを行なったのだが、その時のテープが発見された。ホールに眠っていたテープは2004年に発見され、すでにセロニアス・モンクとコルトレーンのテープのように、「Thelonious Monk Quartet With John Coltrane at Carnegie Hall」としてCD化されたものもある。

 いわゆるサックス・トリオはコード楽器のない編成であって、サックス、ベース、ドラムで押し通すのだが、厳しさも増す。聴衆が楽しめるレベルの演奏に至るってのは大変な事なのだ。

 ご本人の語るところによれば、「頭の中で他の楽器の響きを聞きながら一人だけで演奏する事は、私にとって特別なことではないのです。そもそも一人だけで練習する事がとても好きでした。いつもその中に快適さと喜びを感じていました。何時間でも続けられましたし、練習するために人里離れた場所へもよく行ったものです。

 40年代末にマイルスと演奏しているころ、ピアノ抜きでの演奏を試みた事がありました。」

 ま、ほとんどの場合管楽器奏者はピアニストの出すサウンドに左右されやすい。

 ロリンズのトリオ・パフォーマンスを絶賛し、自らもトリオでの活動を続けるブランフォード・マルサリスもその難しさを語っている。

 「イマジネーションのあるピアニストを見つける事は本当に難しいのです。大抵のピアニストが家で練習してきたものを演奏する傾向があって、それはあらかじめ決められたようなものになりがちです。ソニーのような人がそんな状況に我慢できるはずもなく、彼は可能性に鍵をかけるような事はしませんでした。彼は如何様にも和音をセットし、その時々で望むものに変える事もできます。」

 57年「Way Out West」、ウィルバー・ウェアー (Wilbur Ware) とエルヴィン・ジョーンズ (Elvin Jones)で「A Night at the Village Vanguard」、58年オスカー・ペティフォード (Oscar Pettiford) とマックス・ローチ (Max Roach) と共に「Freedom Suite 」を録音。

(単にピアノレスが特別な事ではなく、ジェリー・マリガンは51年にピアノレス2管編成のクァルテットで活動。これはバリトンサックスとトランペットが緻密に作られた対位法的なラインを演奏するスタイル。)

 さて、そのカーネギー・ホールの事だ。

 50年代から60年代の彼の業績が、様々な観客のリクエストを生む事になった。        

 マイクなしでの狭いクラブでの演奏をしろだとか、カリプソを少なくしろだとか、電気ベースを使うなとか。その中でも実現不能のように思われていたのがピアノレス・トリオでの演奏。

 極端に自分に厳しい巨匠は、発見された50年前のテープを聞く事にかなり抵抗があったらしいが、聞いた後、今の状態での再トライを決め、彼自身のレーベルから57年と今回のもの2枚をリリース予定。

 57年のものには「Sonnymoon for Two」」「 Some Enchanted Evening」「Moritat (Mack the Knife)が含まれていて、これはその後にトリオで演奏された事がないらしい。

 今回の公演は、ロイ・ヘインズ (Roy Haynes)、クリスチャン・マクブライド(Christian McBride)と行われ、上記3曲は当夜のハイライトだったらしい。

 コンサート評では、ロリンズ77才、ヘインズ82才に挟まれた35才のマクブライドのベースは高いレヴェルで役目を果たしたと伝えられている。

 2部ではレギュラーバンドが登場したようだが、こちらの方は音量バランスに若干の難ありと言うところ。

 折よく、一ヶ月ほど前に昔のロリンズ・トリオのビデオを見る機会があって、演奏にやられていたわけだが、その時のベーシスト、ヘンリー・グライムスのラインに感心していた。テーマ部分でのラインはかなり細かく考えられていて、2声で動くこの編成ならではの面白さに満ちていた。「へぇー」と思ったのはテーマ終わり部分、解決したかと思ったらII♭セブンと見せかけてのロリンズのアプローチ。エンディングでなかったから、かなり新鮮に聞こえた。

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